2018年11月3日土曜日

香港西九龍発行のきっぷたち



なお香港西九龍の窓口で発券した乗車券です。福田(深圳市)から香港西九龍の、いわば復路にあたるものです。印字および裏面注意事項は繁体字と英語の併記となっています。


一方こちらは香港西九龍から深圳北までの乗車券です。表記は簡体字、最下部には「深A售」(深圳駅発売の意味。深圳西駅だと深B售、深圳北駅だと深圳北售になるようです。)と記されていますが、誰が何と言おうと香港西九龍で受け取ったものです。そのために手續費(手数料)10港幣も支払ったんです。この乗車券は内地の鉄道を運営する中国鉄路総公司の予約サイト12306にて予約・決済をしていたため、香港西九龍に設置された内地乗車券を取り扱う窓口にて受け取りました。



香港西九龍で受け取った、深圳北から庆盛(慶盛、広州市南部)まで、内地完結の乗車券です。最下部には「深A售」と記されていますが、誰が何と言おうと香港西九龍で受け取った乗車券です。異論は認めません。例によって10港幣の手續費が必要でした。印字も裏面注意事項も簡体字のためそう主張されても香港西九龍で発券されたものとは分からないでしょう。



香港西九龍発着の運賃は人民元建てで定められ、香港ドル建ての運賃は為替変動に応じて毎月見直されることになっていますが、基本的に香港西九龍から光明城(深圳北の次)以北の運賃は高めに設定されており、香港西九龍と光明城~広州南の各駅との間を移動する場合は基本的に福田もしくは深圳北で乗車券を分割したほうが総額としては安くなり、広州南以外の各駅の場合は有効本数も増加する場合があります。なお長距離列車の運賃は広深港高鉄区間の運賃とその他の区間の運賃を単純合算することになっているため、広州南を経由しない潮汕、廈門、福州方面ゆき以外の場合もやはり深圳北での分割で運賃が若干安くなります。
広深港高鉄 運賃表


手数料については、中国においてもかつては異なる駅を発駅とする乗車券の発行の際に徴収しており、専用の領収書も用意されていましたが、2017年9月末をもって廃止されました。ところが香港西九龍駅においては自駅発の乗車券にも一部で手数料を徴収しています。これは広深港高鐵の運営が中国鉄路と香港MTRの2社に跨っていることに由来します。
中国鉄路には元来より指定席管理および乗車券発行の基幹システム「TRS」およびオンライン予約サイト「12306」が存在しています。しかしながら同システムで取り扱っているのは国内列車のみで、国際列車およびそれに準じる香港直通車は対象外です。そのため国際列車の乗車券は基本的には旅行社での購入、香港直通車の乗車券は発駅の専用窓口での購入に限られ、インターネット上での予約等は不可です。香港直通車は大部分の広州発着を除けば北京発着と上海発着が1日おきに交互にあるのみで、内地完結区間の利用は不可とされていますが、広深港高鉄においては発着地も多く内地完結区間での利用も認めているため、TRSでの管理が必須となっていました。
一方で中国内地は人民元、香港は香港ドルと通貨が異なり、香港西九龍の駅で香港西九龍発着の乗車券を購入するのに人民元建ての決済を行うのは無理が生じてきます。そのため、香港西九龍発着の運賃は香港ドル建て・人民元建ての両面で定めておき、香港西九龍で購入する場合は香港ドル建てで決済することとなりました。ただしこれはあくまで香港西九龍で新規購入をする場合、もしくはMTRの予約サイトで予約した場合に限られ、12306で予約・人民元建て決済をしている場合は内地の乗車券とみなされ発券は内地取票においてTRSでの取扱に限られることになります。しかしながらこの場合、すべての取扱がTRSで完結するためMTRには1銭の、いや1角の収入もないことになってしまいます。そのため香港西九龍において内地售票・内地取票の取扱をする場合は旅客から手續費を収受することとなりました。こうして、当駅発の乗車券を受け取るのに手数料が必要という奇怪な状況が発生してしまったのです。

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