2023年10月15日日曜日

日本人が北朝鮮に行ったら色々と大変なことが起きた話(導入編)

北朝鮮の都市「恵山」を望む中国の小さな町「長白県」に行ってみたから2年後の2019年、遂に私は朝鮮を訪れることにした。とはいえ朝鮮を訪れるのは実は2度目ではあるのだが今回は色々と大変なことが起きたので、それらの出来事についても焦点を当てつつ今更ながら旅行記を書いてみることにする。

目次
  1. 導入編
  2. 引きこもり編
  3. 訪問者編
朝鮮を訪れるのは2度目ということだが前回の訪朝は34人の団体旅行だった。その時の主催者の旅行記にも記載されているが基本的に朝鮮の旅行は1団体の人数が多ければ多いほど価格が安くなる。そのため同じ旅行会社にたまたま同じ旅行日程で申し込んでいた7名と私たちの3名が1団体という扱いとなり、中国を出国してから平壌に到着するまで、そして帰り平壌を出発してから中国に入国するまでの間だけは彼らと行動を共にすることになった。
集合場所は前回と同じく中朝辺境の丹東駅前。私たち3人が日本語で会話をしているのを目印に参加者たちが少しずつ集まってきた。オタク向けの結婚相談所を運営する社長さん(と○婚ではありません)、大手企業に勤めるイケメンサラリーマン、韓国留学で韓国語をマスターしている男性、町会議員を務める若い女性の方と高校生の娘さん一家などなど、朝鮮には興味もなさそうな人が多くてとても驚いた。しばらくして旅行会社の担当者から国際列車の乗車券と朝鮮の査証、あとは「조선국제려행사」(朝鮮国際旅行社)と紙いっぱいの大きさで印刷されたA4用紙1枚を受け取った。この紙と引き換えに新義州駅で食事がもらえるそうだ。


新義州駅とは丹東から川を渡った先にある国際列車の1つ目の停車駅で、ここで朝鮮側の入国審査や手荷物検査が行われる。そのため停車時間が2時間と長めに設定されているのだが、検査が早々に終わってしまったため先ほどの紙を持って駅のあちこちをうろうろして色んな人に見せたが困惑気味に「Yes, I know.」と言われるだけで食事は入手できなかった。とはいえ列車には食堂車が連結されているため韓国語ができる男性が食堂車に行って弁当を買ってきてくれたため何とか食事難民にはならずに済んだ。ありがたい限りだ。


新義州駅を発車してから6時間、列車は平壌駅に着いた。ホームに降りると、なんと前回訪朝の時にお世話になったガイドさんが立っていた。大急ぎで駆け寄ると今回も彼女が案内してくれるという。私たちは再会の感動をしばらくの間分かち合い、バスでホテルに向かった。ホテルで夕食を摂り、ガイドさんと今回の行程についてブリーフィングを行う。朝鮮旅行では予め希望の観光地を伝えておき、このブリーフィングで詳細な旅程について最終の打ち合わせを行うというのが一般的だ。ブリーフィングの後は10人でホテル最上階の展望レストランで少し歓談ののち床に就いた。



次の日は5月1日、朝鮮ではメーデーの祝日だ。そのため午前中は10人で平壌市内の公園「テソンサン」を訪れた。スポーツ大会や遊具で興じる平壌市民たちを垣間見たり、ガイドさんの学生時代の思い出話を聞いたりもした。


昼食からは7人とは別行動となり、私たちは定番の玉流館冷麺を食べ地下鉄に乗車。しかもこの日は「凱旋」という名前の駅でリニューアル工事が完成し、ちょうど営業を再開したところだった。ガイドさんが機転を利かせてピカピカの新しい駅を見学することができた。


夕方からは、メーデー記念の音楽公演を鑑賞。というのも前回の訪朝では別の参加者の旅行記にある通り私たちは平壌市内のカラオケでひたすら朝鮮音楽を熱唱しまくりガイドさんや店員さんをドン引きさせており、その時の記憶があったガイドさんが私たちのために用意してくれていたのだ。本当に頭が上がらない。


この日の夕食は朝鮮名物のアヒルの焼肉。ここでは残りの7人と合流し、1日の感想などをお互いに語り合った。彼らは板門店を訪れていたようで、韓国の電波を拾った社長さんの携帯に丸2日ぶんのメールがどっさり届いてデジタルデトックスに失敗してしまったと苦笑していたのがとても印象的だった。美味い焼肉と楽しい話で大同江ビールがいつになく進んだ。


夕食の後はお待ちかねのカラオケ。写真は先ほどからちょくちょく登場しているガイドさん、ではなくカラオケの店員さんだ。というのも今回は前回と異なりガイドさん込みでも5人であり小さな部屋だったこともあり、そもそも前回に引き続き2回目だったこともあり、入室しても感動などしている暇もなく歌本を一目散に繰り始め相変わらず朝鮮音楽を終始歌い詰めであったので、これしか写真がないのである。つまり店員さんはおそらくドン引きしていたのだろうが、歌を歌い始めればそんなことは微塵も感じさせない抜群の歌唱力である。
そうしてカラオケを堪能した私たちは宴の余韻に浸りながらホテルに戻った。

(引きこもり編に続く)

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