乗車券、乗車証、乗車票、きっぷ の違いとは

いわゆる鉄道の「きっぷ」を指す単語には幾つかの種類があります。タイトルに挙げた以外にも「乗車券類」や「切符」といった表記を見かけることもあるかも知れません。実はこれらには明確な区別があるのです。それぞれどういう意味なのでしょうか。



まず、一番なじみのある「きっぷ」という単語ですが、実は明確に定義されている言葉ではありません。すなわち、旅客営業規則などには一切出てこないため、日常用語ではありますが専門用語ではないということになります。そのため、基本的にはこれから出てくる概念の中では一番幅広く使用できるということができます。
関連して「切符」という言葉も規則などにはほとんど出てこない言葉です。「きっぷ」は一般向けのポスターや標語などに用いられることもありますが、「切符」という単語を鉄道事業者が使用することは基本的にありません。唯一の例外として、「手回り品切符」についてはこの表記で規則に定められているため券面にもこの表記が用いられています。
「きっぷ」を厳密に定義するとすると、「乗車券類」「乗車証」「乗車票」などの列車の乗車に必要な証券類、ということでしょう。これらの3つの言葉も明確な使い分けがあります。

これらの中で最も手にする機会が多いのが「乗車券類」です。乗車券類はその名のとおり乗車券などのことで、乗車券、急行券、特急券、指定席券、特別車両券、特別企画乗車券などの総称です。そして乗車券とは、旅客から運賃を収受して旅客輸送契約を締結した際に交付されるものです。
対して株主優待や振替乗車など通常の運賃を収受せずに旅客を輸送する際に発行されるものは乗車券ではなく「乗車証」や「乗車票」と呼びます。主な乗車証としては敬老乗車証や福祉乗車証、株主優待乗車証、定期券購入用乗車証などがあります。乗車票には振替乗車票、団体旅客乗車票、契約乗車票（いわゆる〇契）などがあります。乗車証は旅客から一切運賃を収受しない場合、乗車票は鉄道事業者以外の者が代理で旅客から運賃を収受している場合に使用します。

まとめると、乗車券、乗車証、乗車票、きっぷは、以下のような意味になります。乗車証や乗車票を手にする機会は少ないと思いますが、もし手に入れたときには券面表記にも注目してみてください。

• きっぷ … 以下の総称
• 乗車券類 … 以下の総称
• 乗車券 … 鉄道事業者が旅客から運賃を直接収受して旅客輸送契約を締結した際に交付されるもの
• 急行券、特急券、指定席券、特別車両券、特別企画乗車券など
• 乗車票 … 鉄道事業者以外の者が代理で旅客から運賃を収受した際に交付されるもの
• 乗車証 … 旅客から運賃を収受せずに無賃輸送を行う際に交付されるもの
• 入場券、手回り品切符など