2017年7月1日土曜日

北朝鮮の都市「恵山」を望む中国の小さな町「長白県」に日本人が1人で行ってみた(川沿編②)

2日目の朝、まず何はともあれ脱出(という言い方はあまりよくないが)手段を確保しなければならないため、バスのきっぷを買いにふたたびバスターミナルへ。昨日は川沿いを歩いたのでこの時は街中を歩いた。
難なくきっぷを手に入れたのちは早上好早餐という店で朝食をとり、ホテルで小休止。10時くらいに再出発をしようとしたところで事件編に記した2件目の事件が起こったわけだ。
というわけで、川沿いには近づくなと言われた手前、川の方向に直行するわけにもいかず一旦街中のほうへと歩き始めた。


(今回もすべての画像がクリックで拡大します)


実はこの長白という町は結構坂が多いため川から結構離れていても恵山の町が見えることがちらほらある。(さすがにそこまで多くはないのだが。)奥に見える背が低くカラフルな建物は恵山の建物だ。


とはいえ街中ばかり歩いていても面白くないので、やはり川沿を歩く。昨日は上流に向かって歩いたので今回は下流を向いて歩いてみる。目指すは国境の橋だ。実は鴨緑江にはほとんど橋が架かっておらず、道路橋は丹東と長白にしか架かっていないようである。
上流のほうには看板が時々立っているだけだったが、こちら側には横断幕が張られている。「注意人身安全,禁止越境从事各项违法活动!」と書いてある。日本語に直すと「人身の安全に注意せよ、越境し各種違法活動に従事することは禁止!」とでもなるのだろうか。



ちなみに中国側はどうかといえば、川沿いだけ特別扱いで一際立派な建物が建設されている。(ちなみに上流側にも立派な建物があったが、軍関係の施設だったため撮影できなかった。)上は人民法院(裁判所)、下は吉视传媒(吉視伝媒)というテレビ局だそうだ。街中にある建物より明らかに真新しく規模も大きいが、やはり朝鮮に対して誇示する役割もあるのだろうか。


そして道を歩いていくと途中で工事中のため通行止めとなっていた。迂回を余儀なくされる。


川沿い以外でも工事はされており(というか工事中のまま放置されている感じもするが)、街中工事だらけといったところだ。せっかく歩道(の用地)があるのに歩きにくくて仕方がない。



こちらの写真、いずれも恵山の方面ではなく長白の方面を見て撮ったものだが、何故かいかにも朝鮮的な雰囲気が漂っている。ように思うのは気のせいだろうか。



どんどん下流方面へ歩いていくと、街並みがだいぶ閑散としてくる。どうやらこのあたりは「开发区」(開発区)と呼ばれているらしく、その名の通りまさに開発中(というか開発待ち?)といった雰囲気である。


何もないならまだしも工場のようなものが出てきたり、走る車もダンプカーや大型トラックなどばかりと、あまり歩行者がのそのそと入れる雰囲気ではなくなってきたので、国境を見に行くのは断念。次回はタクシーでも捕まえて見に行くことにしようと決意を抱き戻ることにした。


開発区といってもどこもかしこもゴーストタウンや工業地帯ばかりというわけでもなく、普通にマンションなども立っていたり、こんな興味そそる食堂もあったりする。やはり興味深い町だ。。。


ということで戻る際はふたたび川沿いへ。なんだかとても広く、さながら展望台のようになっている場所があったので立ち寄ってみた。だがしかし中ではラジオを聴きながらぼんやりと対岸を眺める人民がいて断念。。しかしラジオを聴きながら朝鮮の町を眺めるとは、優雅な休日の過ごし方のようで憧れすら感じる…。


人民は横断幕の裏側のベンチで横になって対岸を眺めていた。ちなみに横断幕には「不得资助容留境外非法越境人员」と書いてある。「非法越境人員を助け、匿わないこと。」といった意味だと思われる。


よく目を凝らすと、川で洗濯をしている人民の姿が見える。「朝鮮の田舎は日本の江戸時代と同等の暮らしをしている」とも言われているようだが、このような姿を見るとそれもあながち空想の話でもないように思えてくる。恵山は中国との密輸などもあり国内でもかなり経済的に恵まれているほうだという話もあるのだが…。


ちなみに鴨緑江の水はお世辞にも綺麗とは言えない雰囲気であった。


川沿いにはこのように監視小屋が一定間隔で置かれている。ただし中国側には設けられておらず、あるのは「あずまや」だけだ。


全てのあずまやの写真をいちいち撮っていてはキリがないほど多くのあずまやが設置されていたが、ここは何やら意味深な階段の上に設置されていたため思わず撮影してしまった。


そしてここにもお馴染みとなってきた横断幕が掲げられている。内容はほぼ同じなので割愛したい。しかし全て内容も大きさも異なっており、規格統一や大量生産をしないあたりが謎なところである。


しかしこのあずまやは先の意味深な階段を塞ぐようにして建設されている。もしかして以前は誰でも河原に降りることができたのだろうか。



宿のすぐ近くにも大規模な開発予定が掲げられていた。「印象長白」という名前のようだが、朝鮮を眺めるためのものではなさそうだ。なかなかすごそうなイメージ図が載っているが、いまいち現実感がないような気がする。この規模のまちにこの規模の施設が果たして本当に必要なのだろうか…。


(山上編に続く)

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